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今月のDVD:『東京オリンピック』(1965年)

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新型コロナウィルスの影響が心配される2020年東京オリンピック・パラリンピックですが、その記録のひとつとして、河瀬直美監督による公式映画の制作も予定されています。そこで今回は、メディアスタジオにあるオリンピック関連作品のうち、1964年の東京オリンピックを映した市川崑監督による名作『東京オリンピック』をご紹介します。

『東京オリンピック』は、もともと黒沢明が総監修を務めるはずだったものの、いろいろとあって降板することになり、代打として市川崑が引き受けたもの。しかし、完成した170分もの超大作は、カンヌ国際映画祭・国際批評家賞や英国アカデミー賞・ドキュメンタリー賞に輝き、後のオリンピック映画にも大きな影響を与える作品となりました。カラーテレビが珍しかった当時、映画館だけでなく各地の学校や公民館でも上映が行われ、記録的な観客動員数をたたき出したとされています。

冒頭で展開される、日本各地の風景のなかを聖火リレーが進むようすと、各国の選手団が続々と空港に降り立つ姿が交互に編集されるシーンは圧巻です。当時のフィルム機材でこれだけの映像を撮るには、膨大な人数と時間と予算がかけられていたと感じます。ドローンもGoProもある2020年、独特のゆったりとしたテンポの映像で知られる河瀬直美監督は、どのようなオリンピックを撮るのでしょうか。それが分かる前に、ぜひ『東京オリンピック』もご覧ください。

(鳥海希世子)