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今月のDVD:草創期のテレビドラマ

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今回はメディアスタジオの編集室にあるDVDの中から、草創期のテレビドラマを紹介したいと思います。

日本初のテレビドラマは1940年に放送されたと言われています。1938年ごろから、2年後に開催予定だった東京オリンピックに向けて、競技の中継を行うためにテレビの実験放送が繰り返されました。この実験放送のなかで、日本初のテレビドラマ『夕餉前』が放送されたのです。

その後、終戦を経て1953年にはテレビの本放送が開始となりますが、当時、テレビカメラの映像を記録する装置(VTR)は開発されたばかりで非常に高価であり、テレビドラマもスポーツ中継などと同様に「ナマ」で放送されていました。

さて、右の写真のDVDには、1956年に全編生放送されたスタジオドラマ『どたんば』が収録されています。このドラマは炭鉱の落盤事故を主題としています。初めて見て驚くのは、これが生放送されたとは思えないほど映像の流れが自然であるということです。当時のテレビカメラは機動力がなく、また生放送される(編集ができない)ことから場つなぎのカットが多く生じたと言われていますが、実際のドラマはそうしたことを感じさせません。むしろ落盤事故により炭鉱に取り残され、極限状態に追い詰められた人たちの緊迫感を強く感じます。

緊急事態宣言が5月末に解除されたとはいえ、先が見えない状況は続いています。唐突に訪れる非日常的な事態、なのにそうした状況に奇妙に順応してしまうことなど、このドラマは現在の状況にも通じるものを映し出しているなと感じました。

(鈴木麻記)